どの程度まで採用要件を明確にすべきか

スカウトメールを送る上で、採用要件が明確になっているかどうかは非常に重要です。この記事では、どの程度まで採用要件を明確にすれば良いのかを解説します。

※スカウトを送る上で採用要件が明確になっているかどうかがなぜ重要なのかについては、こちらの なぜ採用要件を明確にすべきか の記事をご参照ください。

採用要件の大枠

採用要件の大枠は一般的に

1.業務内容

2.必須/歓迎するスキル・経験

3.開発環境

4.求める人物像

5.年収

の5つで決められます。それぞれについて良い例と悪い例を比較しながら、どの程度まで明確にすれば良いのかを見ていきましょう。

1. 業務内容

ポイント:具体的に何をするのかが書いてある

- 良い例

退職率予測アルゴリズム・企業と候補者の最適なマッチング発見アルゴリズムのようなモデル構築・実装と、それらの技術の論文執筆/特許申請 による公表を行なうエンジニア(研究者)を募集しています。

・スカウトメールの自動レビュー機能(修正箇所のハイライトが行われたり、実際に修正されたりする)の開発・実装

・GitHubデータなどを用いた候補者の開発能力スコアリングアルゴリズムの開発・実装

- 悪い例

主にRailsを用いたサーバーサイドの開発の担当をしていただきます。

・Webアプリケーションの開発

・APIの開発

良い例では、具体的にどういう内容の仕事をするのかというイメージがつきます。しかし、悪い例では具体的にどんなWebアプリケーションを開発するのかも分かりませんし、Webアプリケーション開発の中でどのような部分の開発をするのかということが分かりません。

これでは自分が入社した時にどのようなことをやるのか上手く想像できないので、自分の興味と近いのかということを判断することが出来ず、候補者は不安を覚えてしまうでしょう。

また、このような業務内容の書き方は適当に作ったという印象を与え、エンジニアサイドの実際の業務内容が採用担当者に伝わっていないという不信感を候補者に与えてしまいます。

業務内容を書く際はエンジニアサイドと連携して

  • なんのために
  • 具体的になにをしてもらいたいのか

を明確にしましょう。

2. 必須/歓迎するスキル・経験

ポイント:具体的に何ができる人が欲しいのかが書いてある

- 良い例

  • Webアプリケーションの開発・リリースを行った経験
  • Pythonを用いたWebサービス開発経験

- 悪い例

  • Pythonに関する深い理解
  • コーディング力

良い例では実際にどのような能力が求められているのかが文章から理解できます。しかし、悪い例ではどの程度の理解が「深い理解」なのかがわかりませんし、解釈が分かれる表現や、「コーディング力」といった曖昧な表現は、採用要件にふさわしいとは言えません。

スキル要件を書く際は、エンジニアサイドと連携して

  • 具体的にどんな言語のどのようなスキルを求めているか
  • どのような経験があってほしいか

を明確にしましょう。

3. 開発環境

ポイント:具体的にどのような開発が行われているのかをイメージできる

- 良い例

  • フロントはVue.js/Typescript、サーバサイドはPython/Djangoで開発しています

- 悪い例

  • (言及なし)



開発環境については、以下のものに言及すると実際の開発現場へのイメージが高まります。

  • プログラミング言語
  • フレームワーク
  • ミドルウェア(データベース、開発環境、Webサーバーなど)
  • インフラ
  • 管理ツール(バージョン管理、レポジトリ管理、タスク管理、ドキュメント管理など)
  • 開発手法(スクラム等)

他にも利用しているツールなどがあれば積極的に言及してみましょう。重要なのは、読み取り手に実際の開発現場のイメージを高めさせることです。適切にイメージさせられているかどうかは、例えば書いた内容を自社のエンジニアに見てもらいフィードバックをもらうなどして確かめましょう。

4. 求める人物像

ポイント:自社の雰囲気を伝えられているか

- 良い例

  • 「推測より計測」に共感できる方
  • 議論が好きな方

- 悪い例

  • (言及なし)

ここでは、自社の考え方や雰囲気(コーポレートカルチャー)を伝えましょう3の開発環境への言及と似ていますが、読み取り手が実際の実務現場を解像度高くイメージできることはスカウトにおいて非常に重要です。

5. 提示可能な年収レンジを書く

- 良い例

  • 新卒/中途問わず、最低年収648万円以上 + ストックオプション
  • 1000万円以上は応相談

- 悪い例

  • (言及なし)

相手の転職を誘引するにあたって、待遇提示は強いフックになります。

しかし、レンジが広すぎる(400万〜1200万など)場合や提示できる額が現在の相手の待遇よりも少ない場合は、必ずしも必要な項目ではありません。そういった場合は先述の「業務内容」や「カルチャー」の部分で誘引すると良いでしょう。

良い採用要件の例

業務内容
・クライアント(IT企業)向けのヘッドハンティング・ダイレクトリクルーティングツールの開発
・候補者データのクローラー開発(SNSのほか、ブログ記事やインタビュー記事のような非構造化データを構造化する)
・会社情報のクローラー開発(登記簿謄本や、会社の公式HPや採用要件のページなどをスクレイプする)
・スカウトメール開封・既読・URLクリック・返信率などの解析ツール・ダッシュボード開発
・既読検知機能や自動レビュー機能を搭載した高機能のメールソフト開発・メールサーバー設計
・外部ATS (Applicant Tracking System) などとの連携用Web API開発
・デプロイや各種オペレーションを自動化するためのツールの開発、運用
・データ分析を迅速に行うためのログ収集・分析基盤の構築、運用
・候補者検索・マッチングシステムの設計開発
開発の特徴
・4日に1回くらいのペースでのスピーディなリリース(バージョンアップ)
・bizサイドを含めた社員全員がエンジニア知識を持っている
・bizサイドがステージング環境で新機能テストをしてくれる
・bizサイド・顧客の声を即反映→フィードバック→即反映する開発体制
・今正しい仮説が1週間後には全く変わっている環境での開発
応募資格
・アプリケーションの開発・リリースを行った経験
・Pythonを用いたWEBサービス開発経験
歓迎する経験・スキル
・Pythonでの開発経験
・ユーザー体験を意識した開発
・コンピュータサイエンスの知識
・機械学習・自然言語処理の知識
・AWSを使用したインフラ構築経験
・10~20人規模のチームのマネジメント経験
・OSSの公開、コントリビュートの経験
・セキュリティに関する知識
開発に使っている主なツール
・言語: Python 3.6
・フレームワーク:Django 1.11
・DB: MySQL 5.6, DynamoDB
・バージョン管理: Git
・リポジトリ管理: GitHub
・インフラ: AWS (Route53, ELB, ECS, RDS, DynamoDB, Lambda, S3, CloudFront, CloudWatch, SES)
・サーバー監視: Mackerel
・開発環境: Docker
・CI: Circle CI
・コミュニケーション: Slack
・タスク管理: Trello
・ドキュメント管理: esa.io
このどれかにピンと来る人歓迎
・学問的技術を実践・実用に使って行きたい方
・開発のみならず、新規機能の企画などをしたい方
・なんでも効率化したい
・ストックオプションが欲しい方・数年後に富を築きたい方
・議論好き
・「推測より計測」に共感できる方
・世の中に採用のミスマッチが多すぎると感じている
・変化する環境が好きな方
年収
新卒/中途問わず、最低年収648万円以上保証
1000万円以上は応相談

おわりに

採用要件を明確にすることは、良い採用を行う上で必要不可欠です。そのため、採用担当者だけでこれを行うのではなく、現場のエンジニアとどのような人が欲しいのかについて入念に議論し、明確な採用要件を作り上げていきましょう。